世にでない医療過誤
1年ほど前から、医療過誤を繰り返すある医師を題材とした漫画がインターネット上に公開され、段々と話題になっていました。内容に真実味があり、フィクションではなく、本当のことを題材にしているのではないかといった感想を持つ読者が多かったようです。最近になって、この漫画の話題がまた大きくなってきました。その理由は、この漫画はやはり事実をもとにしたものであり、そして、その題材となった医師も特定されつつあるからのようです。この辺の話の真実性はわかりませんし、ここで話したいのは、描かれている医師がどこのだれかということではありません。
漫画の内容としては、医療過誤やその他の問題を度々起こす医師と、それに対する病院の対応が中心に描かれています。その中で、患者又はその遺族については、医療過誤があったことを知らないままに絶望していく様子が描かれています。
この漫画にも描かれているように、仮に医療過誤があったとしても、患者や遺族に対する説明において、それが余程明らかなものでもない限り、医療過誤をごまかそうと思えばごまかせるものなのだと思います。それは、医師と患者や遺族とでは、医学的な知識に圧倒的な差があるからです。ですので、事後的に医療過誤として認められた事案というのは本当に氷山の一角で、ほとんどの医療過誤が、医療過誤と気づかれないまま埋もれていってしまっているのだろうと思います。
医師においては、医療過誤があった場合、又は、医療過誤の可能性がある場合には、そういった全ての可能性も含めて患者や遺族に説明してほしいと思います。それが専門家としての責任であり、矜持なのではないかと思います。
弁護士 福原 亮