« ナビゲーションシステム等の先端機器を利用した場合における過失認定 | トップページ | カルテへの記載と不記載 »

2023年1月12日 (木)

インターネット上で視聴できる手術動画について

 医療調査事件を受任した場合、カルテを読むことは当然ですが、文字で書かれた手術記録等を読むだけでは、それがどのような手術であるのかを理解することが難しく、イメージが湧かないことがよくあります。例えば、大動脈弁狭窄症に対する手術法の一つであるTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)であれば、ガードワイヤーを大動脈弁に通し、これに沿ってカテーテルを進めていき、適切な位置で止めてバルーンを拡張し、人工弁を留置して、カテーテルとガイドワイヤーを抜き取るという流れになりますが、TAVIに関する知識やある程度の医学知識があれば別ですが、文字だけ読んでいてもイメージが湧かないのではないかと思います。

 また、医学文献や医療機関のホームページには、写真やイラストが掲載されており、これによってどのような手術であるのか、その手術の流れも含めてある程度は理解できます。

 もっとも、これだけでは一連の流れがイメージできないこともあるため、手術ミス(手技上の過失)が問題となり得る事案では、インターネット上で視聴できる手術動画を見るようにしています。上記で例に出したTAVIについてもインターネット上(YouTubeなど)で視聴できる動画が複数あり、それを見ると手術の一連の流れを視覚的に容易に理解することができます(しかも、医師がわかりやすく解説している動画が多いです。)。また、カルテや医学文献をよく読んだ後に、あらためて手術動画を見ると、さらに理解が深まることが多いように思います。

 そのため、医療調査において、インターネット上で視聴できる手術動画は、非常に便利で有益なツールであると思っています。

                                弁護士 品谷圭佑

 

 

« ナビゲーションシステム等の先端機器を利用した場合における過失認定 | トップページ | カルテへの記載と不記載 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事