医師講演-臨床検査をテーマとして
医療事故研究会の会員は,毎月,例会という学習会を開いて研鑽を積んでいます。
例会では,担当事件の報告を元に討議したり,医療知識の勉強会をしたりします。
医師を講師として招いて,レクチャーをしてもらうこともあります。
医療の専門家から直接話を聞ける機会は大変有益であり,医師講演の例会には,
いつにもましてたくさんの会員が参加します。
7月の例会では,内科の医師をお招きし,臨床検査をテーマに講演をして頂きました。
今回の講師の医師は,過去にも合宿で講演をして下さったり,会員の扱う医療過誤事件で
私的鑑定をして下さったりと,お世話になっている馴染みのある先生でした。
講演では,まず,医療における臨床検査の位置づけ,臨床検査の分類という
体系的な面に関する説明がありました。
次に,入院時,手術前などに全身状態の概要を把握するために行うスクリーニング検査
の特色の説明などがありました。スクリーニング検査は,隠れた疾患,合併症の発見,薬剤の副作用防止
などの目的で行われるものです。
その他,院内検査(検査科)か,外注検査か,という観点からの解説もありました。
医療過誤訴訟においては,臨床検査の記録は,客観的な証拠として高い証拠価値を持ちます。
この検査数値からすれば,担当医はこういった治療を行うべきであった,という形で
過失の重要な根拠となることもあります。
医師講演の後半では,講師の先生が過去に関与した医療過誤事件の中で,
臨床検査の評価が争点となった事件の報告がありました。
医療過誤訴訟で重要な意味を持つ臨床検査について,横断的,概括的に学習できた今回の医師講演は,
大変貴重な機会でした。
今回の例会は,コロナ禍により,Web会議システムで行われたことも画期的でした。
自分の事務所にいながら,講演をリアルタイムで聞き,質疑応答もできます。
Web会議でも,会議室に集合して行う講演とほぼ同じ成果をあげることができるのではないか
と思いました。
今後は,こうしたIT機器も取り入れつつ,より充実した研鑽を目指していきたいと思います。
弁護士 武谷 元