エボラ出血熱の効果的治療薬発見のニュースに触れて
先日、エボラ出血熱に対し、2種類の薬に効果が認められ、効果的な治療に一歩近づいたとの記事を目にしました。
皆さんもご存じのとおり、エボラ出血熱とは、エボラウイルスに感染することによる急性熱性疾患であり、エボラウイルスに感染すると、平均1週間程度の潜伏期間を経て、突然の発熱をきたすほか、頭痛、倦怠感、筋肉痛、嘔吐、下痢などの症状を併発し、症状が進行すると皮膚や目、消化管などから出血を起こすこともあります。
致死率については、ウィルスによって異なりますが、高いものだと80%~90%にもなるといわれており、2019年にもコンゴ民主共和国において集団感染が認められて、多くの人が命を落としている状況でした。
私は、エボラ出血熱の集団感染が起ったというニュースや、アフリカから帰国された日本人の方にエボラ出血熱の疑いがある等のニュースに触れるたび、たくさんの命が失われていく悲しみや、今の社会では日本人にとっても他人ごとではないなという恐怖を感じながら、「これだけ医学が進歩しているのだから、薬で何とかならないのだろうか、今の世の中でもどうにもならないことがあるのだなあ」等と漠然と思っていました。
そんな中、科学者と医師たちが研究を重ね、新薬の治験を重ねて行った結果、2種類の薬が生存率を著しく伸ばすという結果が出たというニュースに触れたわけですが、不可能と思われる事象に対し、科学者や医師の方々が、決して諦めることなく、血のにじむような努力を重ねていたのだと改めて痛感し、漠然と「何とかならないのかな」と思っていた自分が恥ずかしくなりました。
とはいえ、一弁護士に過ぎない私としては、医学的な進歩に直接寄与することはできません。私にできることは、弁護士として医療事件に誠実に取り組み、弁護士が医療事故に関与することによって発生する事故抑止効果によって、医療がより良い方向、患者の方々のためになる医療になることを信じ、努力を重ね続けることだと、思いを新たにした次第です。
弁護士 大城 季絵