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2018年1月30日 (火)

医療過誤訴訟の地方出張

私が医療過誤訴訟を手掛けるようになったのは,弁護士になり最初に就職した事務所が合わずに1年で退職した後に,紹介された事務所が,医療過誤を多く扱っていたからである。

 それまで,医療過誤事件に特に興味があったわけではないが,勤務弁護士としてまじめに仕事はしていたと思う。医療事故研究会は,所長が色々な弁護士と組んで仕事をした方が良いと入会を勧められた。

その事務所も地方の方から医療過誤事件の依頼を受けることが多く,所長と一緒に北海道や山形へ出張した。そして,所長が出張を楽しむ方だったので,高級温泉旅館などの宿泊が伴った。しかし,宿泊の多くは出廷時間の関係で前泊だった。所長の方針で就職した直後から医師の証人尋問を担当していた私は,成功する目処も立たない中,緊張していてあまり楽しめなかった。

しかし,その後一人で出廷するようになると,所長からは翌日観光してきても良いと言われ,事務所の費用で豪華な観光旅行もさせていただいた。

当時は弁護士になり2,3年目だったので,弁護士の仕事のペースがあまりわかっておらず,弁護士はこうして優雅に仕事をするものなのか,とも思ったが,根がワーカホリックなので,あまりしっくりこなかった。

その事務所には4年いた後,独立して現在に至るが,独立後,宿泊を伴う地方出張は,医師の都合で医師との打ち合わせと証人尋問が別々の日になってしまったときの一度だけであったと思う。

日本全国日帰りできない所はないと思うし,高知の午前10時の法廷も,暗いうちから当日行った。

しかし,一昨年新潟の方から医療過誤事件を頼まれ,何度か新潟地裁へ通ってから,もう少しゆっくりするのもいいかな,と思うようになった。

新潟市は私の出生地で,生後数年間住んでいた。そのせいで,そこの空気が懐かしく,そこでの時間が心地よかった。帰りの駅で見かける笹団子も,祖母から良く送ってもらったな,とか思いを馳せ,繁華街を通ると,幼い私はここを歩いたことがあるのだろうか,などとあれこれ考えた。

幸か不幸かその訴訟は数か月で和解となったが,その依頼者の紹介の方の事件で来月また新潟へ行く。

たぶん私はまたすぐ事務所に戻り,カリカリ仕事をするのだろうが,懐かしい場所で優雅な1日を過ごす可能性も残しておきたいと思っている。

                   弁護士 羽賀 千栄子

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