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2017年12月 5日 (火)

証拠保全の事由について

最近、証拠保全の申立てを行いました。証拠保全は、医師や医療機関によりカルテが改ざんされるおそれがあるような場合に行うもので、代理人弁護士と裁判官らが医療機関に赴いてその場でカルテ等の開示を受ける手続です(医療機関は、証拠保全手続が行われる1時間から1時間30分くらい前に初めて証拠保全手続が実施されることを知らされます。)。

証拠保全の申立てにあたっては、「あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情」(民事訴訟法234条)を疎明しなければならないとされています(民事訴訟規則1533項)。

この「あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情」とは、証拠(カルテ等)の廃棄、紛失、改ざん等のおそれがある場合を意味し、ここでいう「おそれ」は、一般的・抽象的なものでは足りず、個別的・具体的なものが必要とされています(東京地判平成10827日等)。

具体的には、①医師に改ざんの前歴がある、②医師が患者側から診療上の問題点について説明を求められたにもかかわらず相当な理由なくこれを拒絶した、③前後矛盾ないし偽の説明をした、④ことさらに不誠実又は責任回避的な態度に終始した等の事実をもとに、改ざん等の具体的なおそれがあると主張していくことになります(広島地決昭和611121日。その他、東京地裁の裁判官が執筆されている『証拠保全の実務』など)。

弁護士としては、以上のような裁判例や実務の運用を前提として、ご相談者が医療機関に対して不信感を抱くに至った経緯や理由などを確認し、改ざん等の具体的なおそれがあるといえそうかどうか検討することになります。

最近は、電子カルテシステムを利用している病院も多いように思いますが、電子カルテについても改ざんが可能な場合があり、「一般論としては、電子カルテであることのみを理由にして、改ざんのおそれの存在を否定するのは難しい」(『電子カルテの証拠保全について』判例タイムズ13298頁)と言われています

ですので、電子カルテの場合も含め、改ざん等の可能性があると思われる場合は、その旨ご相談いただければと思います。

                                           弁護士 品谷圭佑

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