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2016年8月 9日 (火)

協力医の重要性について

1 先日、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の薬害訴訟が、東京・名古屋・大阪・福岡の4地裁に提訴されたとの報道がなされました。

  私自身は、上記訴訟の弁護団に属しているわけではないので、どのような法的構成で争うのかという点の詳細はわかりませんが、「子宮頸がんワクチンの接種」と「原告の方々が主張する様々な副反応による被害」との因果関係が、この訴訟の重要な争点になることは間違いないであろうと思います。

2 通常、「因果関係」の存在については、原告側、すなわち、医療訴訟においては患者側が立証することになりますが、この因果関係の立証が患者側に著しく負担になることに鑑み、最高裁判所において、患者である原告側の立証の程度について、一定程度緩和する判断も行われているところです。

  しかしながら、やはり医療訴訟における因果関係立証のハードルは高く、「子宮頸がんワクチンの接種」と「原告の方々が主張する様々な副反応による被害」の存在を証明するだけでは、因果関係が認められるのはなかなか難しいところがあるように思われます。

3 そこで、この訴訟提起の報道に触れ、私が改めて痛感したのは、協力医の必要性・重要性です。

  因果関係立証に際しては、HPVワクチンの接種によって発生している一定割合の副反応が、HPVワクチンのどのような成分・メカニズムに基づいて発生している可能性があるのか、なぜ副反応の発生の仕方に違いが生じているのか等といった点につき、原告側がある程度の立証を行うことが必要になると思われます。

しかしながら、この問題は、現状、明確な結論が出ていないことから、立証に際しては、医学的な知識に基づいて可能性を考え、検証等を行う作業が必要になるかと思われますが、その作業を弁護士のみで行うことは極めて困難であり、医師による医学的知見に基づくアドバイスが必要不可欠であると考えられるからです。

4 上記訴訟がどのような経緯をたどり、どのような結論に至るのかについては、その状況を見守っていくほかありませんが、患者側に立って活動をしている弁護士としては、協力医の必要性・重要性を常に念頭に置き、一人でも多くの医師に協力をしてもらえるよう、弁護士として真摯に活動をしなければならないと改めて痛感した次第です。

そして、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の副反応に苦しむ人たちにも、この訴訟手続きの中で、何らかの救いの光・解決策が見つかることを切に願っております。

                                弁護士 大城 季絵

医療事故研究会HP http://www.iryoujiko.net

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