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2015年2月24日 (火)

医療事故調査制度について

 平成27年1月29日、私は、弁護士会館へ行き、東京三弁護士会医療関係事件検討協議会主催のシンポジウム「新たに始まる医療事故調査制度について」を聞いてきました。

 そもそも、私は「医療事故調査制度」など全く関心がなかったのですが、シンポジウムのパンフレットには「平成26年6月18日法制化、平成27年10月より施行」との記載があったので、驚いて聞きに行った次第です。私の理解では、医療事故調査は、同シンポジウムで話をされていた木村壮介氏の「日本医療安全機構」のような第三者機関がやっているんだろうという程度の認識でした。ところが、厚生労働省の大坪氏の話を聞いていると、医療法を改正して、当事者である病院に医療事故調査を行うことを義務づけ、これを制度化するのだというではありませんか。唖然として我が耳を疑いました。咄嗟に頭に浮かんだのは、従前、当事者である病院が患者の遺族に慫慂してきた病理解剖を強引に法制度化するということ以外の何物でもないのではないか?ということでした。一体いつの間にこのような制度が法制化されることになってしまったのでしょうか?

 NPO法人コムルの山口氏は、医療法人協会、ガイドライン作成メンバーその関係者たちが「基本的なあり方」を後退させたと非難しています。しかし、私は、「基本的なあり方」が医療事故調査制度を院内調査を前提とした制度としていることに根本的な制度欠陥があると指摘したいと思います。現行の病院の組織体制において「日本医療安全機構」のような第三者機関の医療事故調査に匹敵しうる院内調査などおよそなしえないことは明らかです。私は、「日本医療安全調査機構」(http://www.medsafe.jp/)のような第三者機関を公的機関として国家予算を投入し、このような第三者機関に医療事故調査の権限とADR的な権能を与える組織的・財政的位置付けをする法制化を何故になさなかったのか(「日本医療安全機構」には、同機構の調査終了後「報告書」に対する評価:遺族側よく理解した57%、民事訴訟:同機構扱い102事例中4件、同機構扱い234事例中6件という実績がある。)、そして、法制度化する前提基盤がおよそない当事者たる病院に院内調査をさせるような拙速な法制度化の動きが何故に出てきたのか、その背景事情を疑問に思うものであります。

                                               弁護士 山内 容

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