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2014年7月22日 (火)

出産後母子同室に起因した事故について病院の責任が認められた事例

福岡地裁は、平成26年3月25日、出産後母子同室の制度をとる病院で、出産後

約10時間後に母子同室を実施した際、助産師等が新生児の経過観察義務を怠った

ため、新生児が低酸素性虚血性脳症となり脳に重い障害を負ったとして、病院に対

し、およそ1億3000万円の支払を命じる判決を言い渡しました(判例時報22

22号72頁)。


上記判決は、①新生児には出産後に多呼吸が見られ、いったん落ち着くまで保育器

で管理されていたこと、②母親は、帝王切開後に意識障害、傾眠、昏睡等の副作用

のある鎮痛剤や精神安定剤を投与された上で、部屋の照明が消えてベッドにある照

明だけがついていたことから、病院は、母子同室を実施する際に、母親が帝王切開

による疲労、鎮静剤の影響等も相まって授乳中に睡眠状態や意識朦朧状態に陥り、

結果、新生児に窒息や圧死等が生じることや新生児の容態が急変した場合に母親に

おいて的確な対処ができないような事態が生じ得ることを具体的に予見できたの

に、約1時間20分にわたり一切経過観察を行っていないとして、病院に経過観察

義務違反を認めています。


早期母子接触(カンガルーケア)や母子同室は、母子のきずな作りになるなどとし

て推奨する声もある一方で、出生直後の新生児は呼吸・循環動態が不安定であるこ

とから、不測の事態に即応できずに重大な事故となるケースが少なくなく、賛否両

論です。本件では病院側の責任が肯定されましたが(ただし、病院は控訴したと報

じられています)、早期母子接触を行っていた際の低酸素脳症による後遺障害につ

いて、医師、助産師等の過失を否定し病院の損害賠償責任を否定した大阪地裁平成

25年9月11日判決(判例時報2200号97頁)も記憶に新しいところであ

り、裁判所の判断も分かれる難しい問題であると言えるでしょう。


 弁護士 石丸 信

医療事故研究会HP http://www.iryoujiko.net


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