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2014年6月10日 (火)

出生前診断結果告知ミスの医院に賠償命令(函館地裁の判決に思う)

  2014年6月5日、函館地方裁判所は、胎児の出生前診断結果を誤って

  告知した医院に対して、1000万円の損害賠償の支払を命ずる判決を下しま

  した。

 報道によると、母親が胎児の染色体異常を調べる羊水検査を受け、ダウン症で

あることを示す結果が出たにも関わらず、医師が「陰性」と誤って伝え、生まれ

た男児はダウン症を診断され、生後3ヶ月半で合併症により死亡したという事案

です。

 この判決は、検査結果を正確に告知していれば、中絶を選択するか、中絶しな

とを選択した場合には心の準備や養育環境の準備もできたはずであったが、

誤告知によってその機会を奪われたことを判決の理由としたそうです。つまり、

この判決は、「陽性の検査結果が分かっていれば中絶することができた」ことだ

けでなく「覚悟を決めて出産を迎えたのであれば短い命でも家族全員で応援でき

た」という点も理由としたのです。原告となったご遺族の心情を汲み取ったのだ

思われます。

 裁判所は個人の意思を尊重します。ですから、意思表示をする機会を奪われて

しまった場合、そのような人を裁判所は救済しようとします。このことは一般の

民事事件でも同様なのですが、特に医療事故事件では生命や身体が問題となる

で、自己決定権が重視されることが多いといえます。このように個人の意思を

尊重する考え方は、日本国憲法の第13条に定められています。


                                                                弁護士 中村 新造

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